
1. 「シングル・ヴィンヤード」と書かれているワイン、見たことありますか?
2.「シングル・ヴィンヤード」のワインはどういうワイン?
3. なぜ、わざわざ畑ごとに分けるの?
4. 同じブドウ品種なのに、味が変わるのはなぜ?
5. 造り手は、畑のどこを見ているの?
6. シングル・ヴィンヤードワインの楽しみ方
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ワインのラベルに、畑の名前や、「シングル・ヴィンヤード」、「単一畑」と書かれているのを見たことがある方もいると思います。
これは、一つの畑から収穫されたブドウだけを使って造られたワインのことです。
こういったワインはどういうワインなのでしょうか?
ワインの世界では、ラベルに表示された地域の『複数の畑』のブドウを混ぜて醸造することが一般的です。例えば、ボルドーと書いてあるワインは、フランス・ボルドー地方の複数の畑のブドウを使用していることが多いです。そうすることで、味わいのバランスが取りやすくなり、安定した品質のワインを届けることができます。
その一方で、シングル・ヴィンヤードのワインは、『一つの畑』だけから収穫されたブドウを使うことで、「この畑から生まれる」個性的な味わいを、そのまま感じてもらいたい、という考え方から造られます。
なぜワインの造り手は、単一の畑からのブドウを使って、「シングル・ヴィンヤード」のワイン造りをするのでしょうか。仕込みの単位が小さくなるので、発酵を行うタンクは小さくなり、手間はかかります。
その理由はとてもシンプルです。
畑が違うと、できあがるワインの味が異なり、個性を感じることができるからです。
太陽の当たり方、標高、風通し、土の性質、水はけ――こうした条件は、少し場所が違うだけでもブドウの個性に影響を与えると言われます。そして、その差は最終的にワインの香りや味わいとなって表れます。
シングル・ヴィンヤードのワインでは、畑の個性を楽しむことができるということです。
「同じシャルドネなのに、こんなに印象が違う!」
シングル・ヴィンヤードのワインを飲み比べると、そんな驚きを感じることがあります。
例えば、涼しい場所の畑で育ったブドウからは、すっきりとした酸のあるワインができます。一方、日当たりが良く温暖な畑では、果実の風味が豊かでふくよかな味わいになることが多いです。
土壌が違えば、口当たりが軽く感じられたり、しっかりした骨格を持つワインになったりもします。
造り方である程度の調整はできますが、畑の影響は大きいと言えます。だからこそ、畑の違いはワインの面白さにつながるのです。
例えば、シャルドネから造られる、フランス・ブルゴーニュ地方のシャブリ地区では、シングル・ヴィンヤードの畑名が入ったワインが多く造られています。同じ畑のシャルドネからでも、醸造する造り手が異なると、味わいは異なりますが、畑の個性が感じられることが多いです。
ワインの造り手は、畑をとても注意深く観察します。ブドウの葉の色や樹の勢い、雨が降った後の地面の状態、乾いた時のブドウの反応など、小さな変化を見逃しません。
特に重要なのは、「年ごとの気候」です。今年たまたま良かった畑よりも、毎年同じようなワインの特徴を見せる畑の方が、シングル・ヴィンヤードとしての価値は高いと考えられます。
そこには、「この場所らしさ」があるからです。
シングル・ヴィンヤードのワインを飲む際は、難しく考える必要はありません。
おすすめなのは、「違いを比べてみる」ことです。同じ造り手のワインで畑違いのものがあれば、並べて香りや味わいを比べてみてください。
「こちらはよりさわやか」「こちらはより丸みがある」といった感想で十分です。
また、同じ畑のワインを違う収穫年で比べて飲んでみると、「変わらない個性」と「年ごとの違い」の両方を楽しむことができます。大切なのは、「どちらがおいしいか」を決めることではなく、畑が違うと表情が変わるということに気づくことです。それだけで、ワインはぐっと奥行きのある飲み物になります。
シングル・ヴィンヤードのワインは、その畑、その土地、その年の自然条件、そして造り手の選択が重なって生まれます。
グラス一杯の中に、「この場所はこんな個性を持っている」という物語が詰まっている、と考えると、少し味わい方が変わってくるかもしれません。
肩肘張らず、「今日はこの畑と出会ってみよう」――そんな気持ちでワインのグラスを手に取ってみると、ワインの世界はより楽しく、立体的に広がっていくはずです。


